プログラム理念

本プログラムでは、複数の基礎科学の専門性に立脚することで、俯瞰的視座から次世代の基礎科学を牽引し、さらにその魅力を伝達できる人材の育成を目標に掲げ、優秀な大学院生の研究活動を支援することを目的としています。

大隅良典特別栄誉教授のノーベル賞受賞のように、基礎科学研究は長期的にみれば極めて大きなイノベーションに繋がる大変魅力ある研究分野です。本プログラムは、数理・物理・化学・生物・宇宙地球・情報など学際領域を含む広範囲の学問分野が混在し、大学院生の個別の学問的関心を深化させると同時に、基礎科学の他分野への跳躍を行う機会を数多く提供します。また、 大学一年生から研究者まで同居する駒場の特徴を活かし、自らの理解を他者と共有することを通じ、高い教育力をもつ大学院生の育成を目指します。

プログラムの概要

1. 最先端の基礎科学の講義群

先進科学研究機構は今後大きな発展が期待される先進的な新進気鋭の研究者による研究・教育の充実をはかる駒場の組織です。新進気鋭の研究者との交流を通じて、世界に通じるレベルの高い基礎科学の素養を身につけるとともに、研究・教育への向上心や将来のキャリア設計の動機づけを図っていきます。

2. クロスメンター制度の導入

本プログラムでは、学内外連携研究者を含む異なる専門分野の副指導教員ならびに博士課程大学院生がメンターを担当します。ここでは研究指導のみを目的とするのではなく、お互いの研究内容の情報を交換し、相互理解と理解の共有を進めることにより異分野交流を促進し、同種分野を超えて通用するコミュニケーション能力を高めていきます。

3. 前期教養課程との連携

2019年度より開講する総合科目「アドバンスト理科」では、前期課程の最優秀な学生への実践的先進教育が計画されています。また理科系一年生対象の英語ライティングの必修科目であるALESS において、TAとして協力します。学部学生にとっては研究の現場で活躍するロールモデルと身近に接する機会を得ることができ、一方、大学院生にとっては専門性の決まっていない未分化の学部学生との交流により、学術的意義や価値の再認識・再構築に役立てられます。

4. グループ型国内外短期修学

他分野も含めた基礎科学の修学・動機付けを目的として、異なる専門分野の大学院生でグループを組み、基礎科学に関わる国内外での短期滞在型研究活動(学会・研究会参加、研究所の研究室・設備訪問など)を行います。

5. スキルの相互チュートリアル

自ら深めようとしている基礎科学の研究におけるスキルを習熟しチュートリアルのできる優秀な博士課程学生は、他の研究者や大学院生との共同研究や、後期課程の学生実習や学生実験の準備段階でコアになり、そのスキルや要素技術について解説するゼミや体験会により、参加者に各スキルの使い方や効用を解説します。また、学習バックグラウンドの異なる留学生に、基礎から理解しシームレスに研究スキルに接続できる勉強会も開催および運営します。

6. 異分野ピアレビュー

本プログラムに設ける演習授業では、学生の発表内容にその場で質疑応答するだけでなく、レポート文書による複数回のやりとりを本プログラムの異分野学生間で行います。これにより基礎科学を推進するために必要な異分野に対する眼識や、逆に異分野からの指摘に対する柔軟性や異分野に対する発信力を養います。